地獄へ落ちるよ
2024年12月5日
「そんなことしたら地獄へ落ちるよ」と子供の頃クラスメートから言われた日は、7歳の僕の誕生日だったと思う。そんな僕が少し嘘をついたのか、小学校の決まりごとを破ったのかはよく憶えていないが、地獄についてはその後の人生で幾度となく想像してきた。炎に包まれ、食べ物や着る物もなく、人々は殺し合う。しかも鬼に支配されて、永遠に肉体労働が待っているのだ。そんな地獄には愛や感謝、優しさや親切は決して生まれないだろう。一方で現世においては恨みや憎しみ、妬みに囚われたり、孤独感や罪悪感で満たされたり、怒りに支配されかねない。だから自分が生きることに感謝さえ出来ずに愛を忘れて、優しさや親切を感じることができなくなる。まさにそんな現世ならば、いわば地獄である。地獄は人の心が生み出すものだと、やっと大人になって分かってきた。地獄へ落ちない生き方をしたいと、あの日からずっと思っている。