この世をば
2023年2月22日
子供のころ藤原道長の歌を習った。月が欠けないのと同じに全てに満たされるのが幸せな人生だと思った。この年まで生きてきて、自分の人生が満月だと思ったことは一度も無かった。
自分には欠けているものがある。これからだって欠けているだろう。満月を目指していくと、欠けている月を美しくは見えない。満月までの過程としか捉えられない。しかし月はよく見ると、三日月だって円くみえる。そして美しい。欠けているところも美しい。人生だって、自分だって、誰だってそうだ。欠けているところを含めて美しいのだ。欠けていることは悪くない。欠け方だってみんな違うから、それこそが人を美しくさせると考えている。誰の人生だって満月ではないのだ。学生時代に道長も重症糖尿病で苦しんだとも教わった。