院長ブログ

お別れ

2021年11月25日

 大切で、大好きな人と今日お別れしてきました。

 僕が物心ついたときには、両親や祖父母、叔母がこの病院で働いていたので、父の休日出勤や風邪をひいて学校を休んだときなどにはよく病院に連れていってもらっていました。天国へ行ったその人は、幼い僕に「勉強を頑張っておじいちゃんやお父さんみたいになるのよ!」って、何度となく、ナースステーションで山ほどのお菓子と瓶のコーヒー牛乳を買って下さりました。また僕が小5で虫垂炎手術のためにこの病院に入院したときには、病棟看護師だった彼女が一日に何回も来て励ましてくれました。真冬の陽の当たらない寒い病室に何度も温もりを下さりました。「私、あなたがお医者さんになったら一緒に働くのが夢なの!」って言ってくれるようになったのもこの頃の記憶があります。その後も会う機会があるたびに、同じ夢を僕に言い続けてくれました。そして月日が流れて一緒に働ける日がくるとその人は涙を流して喜んでくれました。

 医師になり若い僕は患者さんのこと、職員のことで悩むことが多く、焦ったり落ち込んだりする姿をたくさん彼女に見せてしまっていました。歳を重ねて次第に小さくなった彼女を怒ってしまうこともありました。愚痴もたくさん聞いてもらいました。でも彼女はいつもどんなときでも僕を励ましてくれました。

 「後はあなたに看取ってもらうからね!」と昨年引退を告げた彼女に言われた言葉です。退職日の10日前にくも膜下出血で倒れてから一年半。医師と患者として関われたことにも感謝しています。たくさんもらった勇気に感謝しています。ずっと愛してくれていたことを胸にしまって、貴女を誇りに明日からも歩んでいきます。お疲れさまでした、ありがとうございました。おやすみなさい。



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