長年一緒に暮らした配偶者を、いつしか一心同体と見る節がある。また自分から生まれてきた子を、母親は分身とみなす。更に社会の厳しさを教えようと、父親は子に自分の社会観を押し付ける。そうやって子は親から価値観を植え付けられる。しかしそれに親子共々いずれ苦しむようになる。自分の価値観のように育っていかない我が子。親を悲しませないようにと思いながら、違う価値観に育った子。僕たちは忘れてしまっている。ひとりひとり別人間なのだ。夫婦、親子と価値観を揃えようとするのは愛ではない。価値観を尊重し合うのが愛である。