院長ブログ

ナチュラル

2018年3月12日

 僕は病気を治すことが仕事です。しかし治らない病はあるし、生命の老化には勝てない。ガンや血管病変にも。昔よく耳にした「ナチュラルコース」という言葉は、ガンや末期の臓器不全で生命を脅やかされているときに蘇生や積極的治療をしないことを指すが、こうなると一般に医師は本当に何もしない。温かい言葉は使うかも知れない。しかし無力感に襲われたことが多かった。

 患者さん自身も「自然に逝きたい」とよく言う。でも何が自然か?愛する人には一日でも長く生きていて欲しいし、一緒にいたい。そして医師として、医療者としてその気持ちに応えたい。取れる苦しみはなるべく取りたい。それにはカテーテルや点滴を用いる。それらが自然な感情ではないか?これから死別する心の準備だって必要だ。感謝の気持ちだって伝えたい。僕はこれらが「ナチュラルコース」だと考えている。



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